魚介藻類を砂糖や水飴などの甘味料,グルタミン酸ソーダやイノシン酸などのうまみ料、ショウガやトウガラシなどの香辛料,食塩,味噌,醤油などにより構成された調味液に浸漬するかもしくはこれらの調味料を添加し、煮熟・焙焼・圧搾・冷却などの加工処理を施したものを一般的に調味加工品と呼びます。更に調味加工品はその加工処理の組み合わせによって4種類に大別されます。みりん干やふりかけなどは調味と乾燥の組み合わせによるので調味乾燥品、佃煮や角煮は調味と煮熟の組み合わせによるので調味煮熟品、ウナギの蒲焼や魚せんべいは調味と焙焼の組み合わせによるので調味焙焼品に各々分類されます。しかしながら、これらのような単純な組み合わせにとどまらないその他のものも有ります。
さきいかなどは調味・乾燥・焙焼・伸展・裂き・調味・乾燥と複雑な工程で仕上げられています。
主原料としては国産のスルメイカ(マイカ)やアカイカ(ムラサキイカ)が使われています。特に、夏から秋にかけて北海道や三陸地方で多く漁獲され、生鮮のものをよく使います。しかし近年ではこれらのイカの漁況が思わしくなく、その場合、冷凍のアルゼンチンイレックス(アルゼンチン松イカ)を使うこともあります。
イカの調理処理法の1つに腹部を切り開くことなく、内臓と頭脚部を取り除く壷抜きと呼ばれるものがあります。この壷抜きをしたものからヒレ肉(耳)を切り取り、腹側(軟甲の付着部)から切り開いて水洗いします。この時異物を外に洗い流せるような構造の洗浄装置を用いることが望ましいです。このような調理処理によって内臓、耳、足、骨を除いたダルマ原料と呼ばれるものが出来上がります。
※使用する用水については水道法でいう飲用適の水(水道水または衛生的に水道水以上の水)を使います。井戸水については水道水の基準に沿って年に二回以上の食中毒菌や一般生菌数などの細菌検査、また化学検査を行い、安全性を確かめなければなりません。井戸水の殺菌には、次亜塩素酸ナトリウムを自動滴下装置などで末端(蛇口)の遊離残留塩素濃度が0.1ppm以上を保持することが必要です。また、貯め水には細菌の汚染や増殖、また化学物質の混入が懸念されるので特に注意が必要です。
80~90℃の温湯中で2~3分間煮熟します。これは、後の工程で裂きやすくするためです。この煮熟工程の前で55℃前後のお湯の中で攪拌し自己消化を利用して剥皮を行うとソフトさきいか用ダルマになります。
水温約13℃に保った冷水中で約20分間冷却し、品温を約15℃位まで低下させます。
原料を水切りしたのち第一次調味をします。第一次調味は後に行われる、さきいかの調味を損なわないように薄味が基本となります。0℃近くまで冷やしたいかの肉を砂糖等の甘味料や食塩、さらにグルタミン酸ナトリウムのような旨み成分を主体にした調味液(メーカーにより種類や添加量は異なります。)を入れた調味タンクにて攪拌、味付(これもメーカーによりやり方はさまざまです。)をします。これが調味ダルマと呼ばれるものです。
※砂糖、食塩、ソルビトール、グルタミン酸ナトリウムなどの調味料等の受入に際しては、その内容を規格合格証のコピーなどで安全性を確認する必要があります。
また、保管に際しては、低温で湿度の低い場所で保管するのが好ましいです。
調味ダルマを伸ばしながら乾燥棚へのせて50℃に設定された温風乾燥機で3~5時間かけて水分を40%程度まで乾燥します。このとき黄色ブドウ球菌が産生する毒素、エンテロトキシンを防ぐ為、品温が3時間以内に48℃を越える管理基準の設定が必要とされています。
乾燥棚を室温で放置して冷却すると同時にあんじょう効果をねらいます。あんじょうとは魚体を高温で乾燥するときや、機械乾燥するときなどに、魚体表面の乾燥だけが進行し、内部は生で水分が多く、乾燥が進行していない現象が起こるため、このような上乾きを防ぎ、水分を均等にするため乾燥を適宜中断して、体表面からの水分の蒸発を抑え内部の水分を表面に拡散するため行われる操作のことをいいます。
調味ダルマの焙焼には自動圧焼機か電化焼機が用いられ、表面を105℃~115℃で加熱します。
焙焼の終わったものを直ちに進展機(ローラー)にかけ、1.3~1.5倍の長さに圧延する。圧延の程度で製品の硬さを調整します。
伸展終了後、暖かいうちに裂き機にかけ約3mm幅に毛羽立ちよく引き裂きます。
裂き終わったものを選別し、引き裂き不良のものを除外します。除外されたものは別製品となります。
仕上げ調味とも呼ばれ、第一次調味料の含有量、消費先の嗜好などにより種類や添加量が変わります。裂き後の重量に対して砂糖、食塩、グルタミン酸ナトリウム、核酸系調味料などの適量をよく混合し、引き裂いた胴肉に攪拌しながらよくまぶします。また、保存料のソルビン酸は酸味料に溶かし、均一に噴霧するのが効果的です。食品衛生法で使用基準のある保存料・ソルビン酸は魚貝乾製品1kg中にソルビン酸として含まれる量が1.0g以下と規定されているので、計量や混合に際しては正確さが要求されます。
調味料等を混合・付着させた後、これらを組織内部へ浸透させるため、虫やほこり等が入り込まないようなところで、約一晩あんじょうします。
さきいかの水分を調節するために行います。製品によってはこの工程を省略します。
混入している異物をチェックし取り除く作業です。
仕上がったさきいかを一定量貯める為の保管です。通常は常温で保管します。
内装のため計量し包装します。同時に異物や表示、賞味期限のチェックを行います。
内装後、金属混入をチェックします。
ダンボール箱に数十個ずつガムテープ及びポリエチレンバンドで梱包します。
ダンボール箱は常温で保管室に保管され、注文先ごとに出荷となります。
出典:さきいか加工場の品質・衛生管理(大日本水産会発行)
品名 | 皮付きさきいか |
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原材料名 | イカ、砂糖、ソルビトール、調味料(アミノ酸等)、甘味料(ステビア、甘草)、pH調整剤、リン酸塩(Na) |
内容量 | 50g |
賞味期限 | 枠外上部に記載 |
保存方法 | 直射日光、高温多湿を避け、常温で保存してください。 |
製造者 | 株式会社全水 住所・TEL |
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